なんとなく元気

なんとなく元気なつもりで・・・

TVが心に痛い。

TVが民放全局NHK状態で刻々と被害状況を伝えてくる。
一般CMすら飛ばして。
心に痛いです。
テレビは余りにも露骨に情報を伝えてくる。
生であることの現実性が視聴者を更にやるせなくしてしまいます。
リアルな現実を客観的立場で観ている自分が辛くなるのです。
今日、東京の友人からメールがありました。
金曜の夜会社から自宅まで歩いて帰ろうとして道に迷い、結局ファミレスで朝を迎え、家族や娘さんと連絡が取れたのが朝の7時だったそうです。
家族がバラバラの状態で、一晩中連絡が取れないなんてどれだけ不安なことでしょうか。
幸い彼の家族は全員無事でしたが、彼の会社では被害を受けた人もいたようです。
リアルな話です。
私はTVを直視できず、とうとうラジオに切り替えてしまいました。
現実があまりにも悲惨な場合、ラジオはよいです。
そこには心が流れています。
車の中でFMから流れていました。
佐野元春さんが誕生日に寄せた詩です。
生きている限り「希望」を捨ててはいけない。何があっても。


転記しておきます。


佐野元春
3月13日、誕生日に寄せて。

それを「希望」と名づけよう
佐野元春


街が揺れた夜、君はひとり無断で、
市営プールに潜りこみ、身体を水に浸した

そして暗がりの中、瞑想した

人は時に、光に水に、雨に風に、感謝し、
人は時に、光に水に、雨に風に、屈服する

この闇の向こうに震えるのは
誰か、嘆きの声

同胞の不在は確かに不可解だ

それはそうだ
しかしどうだろう

君は偽善の涙など流さないと誓ってくれ
決まりきったお悔やみなど無用だと言ってくれ

夜が明けて、そこにいつもどおりの太陽が照り、
草木は首をもたげ、
鳥たちは空を往く

あぁ、美しくも残酷なクリシェ

一方で、
君の身体の細胞ひとつひとつに染みいる光はどうだ
傷だらけではあるが依然雄々しいその筋肉はどうだ

そうさ、君は同胞の不在を気にかけているんだろうが、

たとえば、
偶然にも生き残った君の生を讃えてみてはどうだ?
たとえば、
生き残ったことへの幸運を噛みしめてみてはどうだ?

不謹慎だとわめく偽善者を後に残し
君が光を放つことで、友を弔うんだ

それを「希望」と名づけていいんだよ

余震は続く

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2011年 誕生日に寄せて
佐野元春
Name it “Hope”
Motoharu Sano


On the night when the town jolted,
You sneaked in the municipal swimming pool and submerged yourself in the water,
and meditated in the dark.

At times, people are grateful for lights, water, rain, and winds.
At times people yield and bend their knees to lights, water, rain, and winds.

You hear someone’s mourning, trembling in the darkness.

I know, for you it is incomprehensible that your fellows and friends are missing
and not with you any longer:

I understand what you feel.
But just try to think;

Do promise me that you won’t waste your tears just to be hypocritic.
Do say that you don’t need or want someone to offer his/her routine condolences.

When it dawns, there shines the sun just like before.
There you find the thick growth of plants and trees.
Birds fly over the sky.

Behold, this beautiful yet cruel clich!

On the other hand,
How do you feel the lights penetrating every single cell of your body?
How do you feel your vigorous muscles even though they are all covered with scars?

I know, you are much concerned and crushed with the absence of your friends,
But let us try to celebrate your life who luckily survived.
How about to relish pleasures that you are lucky enough to live on?

Don’t give a damn to the hypocrites yelling that you’re being unscrupulous.
By giving rays of hope to the worlds, you console the spirit of your friends.

You can name it “hope.”

Aftershocks still keep coming.

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One my birthday, 2011
Motoharu Sano

翻訳:山内あゆ
English translation by Ayuko Yamauchi