なんとなく元気

なんとなく元気なつもりで・・・

南無阿弥陀仏

懐しい人を亡くした。
Kさん。
もう現役は退かれていたが、まだ60代半ば。
早いですよ、まだ。
真っ直ぐな性格で私心のない人だった。
思い出されるのは20年前、
竹田市で大水害が起こった時の仕事だ。
当時、放送局の広告部門のラジオ担当であった彼は思った。
水害で打撃を受けた竹田市民に協力できることはないだろうか。
物資を送ったり募金を募ることも考えただろう。
そして自分にできることは?
当時、ラジオの力はまだまだ健在で、カーディーラーの週末イベント告知には欠かせない媒体であった。
カーディーラーと一緒になって何かできないか。
そしてラジオの聴取者と一緒になってできる事は。
「竹田の子供たちに本を贈ろう」
水害で図書館の本が水に浸かり、子供たちの読む本が無くなっているのだ。
そこでKさんと我々広告会社のTグループ担当は一つのキャンペーンを提案する事にした。
ラジオで呼びかけて県下にネットワークを持っているTグループが窓口となり、本を市民から寄贈してもらい、子供たちのために竹田市へ贈るというものだった。
今思えば、何とエコで社会的な企画であろうか。
市民の力で市民を救う。
企業は一市民として一緒になって協力し、信頼感を深めていく。
企業の社会的責任Corporate Social Responsibility
市民の社会的責任Citizen Social Responsibility
まさにCSR
皆で社会を守る事。
持続可能な社会作りをK氏はすでに手がけていたのだ。
志があった。
商業ベースの広告的発想では単発で終わってしまう企画である。
そして20年。
この企画は今でもラジオ番組として形を変え、ラジオを聴いている子供たちに夢や希望を贈り続けている。
Kさん、ありがとう。
一緒に仕事ができた事に感謝です。
懐かしく当時を思い出し、あらためて事の深さに感心させられました。
できれば生きてて欲しかった。

お通夜で
「人が死ぬのは真実。必ず死ぬのだから私欲を捨てて生きよ」と。
そして、
「次はお前だ」
とKさんが自分に語っているように思われました。
「慌てずじっくり」などと先送りしていた自分の尻に蹴りを入れられたようです。
カッコつけずに地道に人の為になることを考えてみよう。
懐しい人にも会いに行こう。
Kさん安らかに。