手術とは命がけの契約である。
まず医師の話を聞き、想定されるリスクを告げられ、その対処方法とそのリスクに対する同意書を何枚書いたことか。
「命がけ」
何と重たい言葉であろうか。
死に至るあらゆるリスクを想定されなければならない。
世の中の取引はどこまで命がけでやっているかな?
自分の利益の安全にこだわった契約になっていないだろうか?
もっと想像力を逞しくしてあらゆるリスクを回避していくべきなのである。
今日は契約に見えてこない信頼の活動に遭遇した。
手術という一連のオペレーションはいくつもの段階を経て各セクションのチームが連係して完成される。
私は入院も手術も生まれて初めてでとても不安な時間をベッドの上で過ごしていた。
すると、各セクションの担当の方が取っ替えひっ替え現れて自分は全体の流れのどのパートの者で、何の役割をするかを説明し、質問に答えてそこには私がいますからご安心下さいと言って帰っていく。
対面し、自分が居ますと言える自信は凄い。
全ての担当者に直接会えた。
全て執刀医の話を聞く前だったが、僕はすでにこのオペを信頼していた。
(たとえ担当者が素敵な女性の看護師さんであることを抜きにしても。)
命がけの仕事は強いのだ。