不意に電話が鳴った。
女性の声。
脳梗塞で倒れたN君のお母様だった。
嫌な予感。
その後、あまり調子良くないらしい。
入院していたとのこと。
あれだけ元気に話し、
笑ってビデオ撮影してたのに。
最近少し言葉が出にくいのだそうだ。
あの雄弁なN君が言葉を奪われるなんて
どれだけ落胆していることだろうか。
ついては過日撮影したビデオの上映を
取りやめて欲しいとの依頼であった。
あれだけ元気にしていたからこそ撮影したのだ。
実に悔しい。
今週末に迫った同期会幹事に連絡を入れ、
上映中止にした。
皆を安心させるつもりだったのに。
今度はN君を元気づけたい。
それこそ、同期会参加者から彼への応援メッセージを
ビデオで届けてあげればどうだろう。
N君の実質的な助けにはなれなくとも、
心の慰みにはならないかな。
人生とは何が起こるか分からない。
今できることを
ちゃんとやっとかないと
後悔するような気がする。
「一期一会」